みなさんこんにちはm(_ _)m      最近はいかがお過ごしでしょうか(*´ω`*)
今日はトレーニー最大の謎「筋肉痛」について書いていきたいと思います(あくまで書いていくだけで結論は今日でも出てないのでありません笑)


まず、筋肉痛には大まかに下記の2種類があります。
「急性的筋痛」・・・運動中あるいは運動直後に起こる痛みや不快感。
「遅発性筋痛」・・・いわゆる一般的な筋肉痛で、運動の1~3日後に発生。DOMSと表現されます。


筋肉痛の原因としてこれまで様々な仮説が立てられてきました。
筋肉痛はそれらの中の1つか、あるいはいくつかの要因が重なり合って発生している物だと考えられています。
その仮説達をこれからご紹介させて頂きます。


まず最初に「筋肉痛の原因は乳酸説」がありました。
残念なことにこの説にはすぐさま疑問符がつきました。乳酸というのは運動中や運動直後に増加します。即ち、乳酸がDOMSの原因なら運動直後などに痛みのピークが来ないとおかしいと考えられます。しかし実際にはそうなっていません。
ということで、乳酸の蓄積は前述の急性的筋肉痛の原因とはなる可能性があるが、DOMSの原因とはならないのでは?と位置付けられました。

ここで1つ興味深い実験結果を。
ランニングマシンでの実験で、下り坂をつけた場合と平面の場合の2つで一定速度で走ってみた。
2つの場合の乳酸の蓄積度合いと酸素消費量を計測すると、2つとも下り坂の方が低かった。
しかし、DOMSの発生度合いは下り坂の方が高かったのです。
筋肉痛はエキセントリックな刺激で発生しやすい、とよく言われます。
下り坂でのランニングは平面でのそれよりもエキセントリック刺激が多いですので、それを示す結果となりました。興味深いのは乳酸の蓄積度合いと酸素消費量は下り坂の方が低かった点。このことからも、乳酸がDOMSとの関係が薄いことが示唆されました。




「筋痙攣が筋肉痛の原因説」
これは、筋肉が活動しているとその部分が虚血(←貧血的な)し、それにより発痛物質が生成されるのでは?という説。 この発痛物質が多く蓄積され、あるレベルに達すると痛点を刺激するのではないか?というものです。
DeVriesは、激しい筋肉痛を起こしている被験者の筋放電量を調べると異常に高い値が測定されたという報告をしていますが、同時に筋放電量は痛みの知覚とは関係ないという報告もあるので何とも言えないところ。



「結合組織の損傷説」
ここでの結合組織というのは関節などではなく、筋内を取り囲む筋内膜、筋周膜、筋外膜などを指します。
驚くべきことに大昔の1902年にHoughが「筋肉痛は筋内で発生する機械的張力に強く関係しているのでは? また、筋肉痛は筋内の断裂が原因ではないか?その断裂が強く起こっているのは結合組織であ~る」という指摘をしています。
エキセントリックな活動で筋肉痛が起こりやすい理由の1つとして、筋肉が同じ量当たりで発生させる張力はポジティブ状態よりもネガティブ状態の方が大きく、そちらの方が前述の機械的張力がより強く働くから、という理由もあります。



「筋肉痛の原因は筋ダメージ説」
筋肉痛は筋内部で発生したある種の損傷に起因するというもの。
エキセントリックな筋活動はこの筋内部へ与えるダメージが他のどの種類の運動よりも強いことを示す研究があり、Fridenらは、階段を連続で駆け下りる運動をした際に筋肉のZ線において分裂と流動による筋原繊維の損傷が起こっていることを初めて発見しました(Z線は下記画像をご参照下さい。)

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また、筋肉のダメージを示す値として「CK」があります。健康診断でも出る値ですね。これはほとんど筋肉内にしか存在しない酵素を指標とするので、筋肉以外の要素に影響されません。
しかしまた不思議な事に、CKのピークと筋肉痛発現のピークタイミングは全くシンクロしていないのです。これは次の項目でも同様の事が確認されており、研究者を悩ませる要因の1つです。



「筋肉痛の原因は炎症説」
筋肉をオーバーユースした後に筋肉を顕微鏡で見てみると、炎症反応から徐々に再生していこうとする特異的パターンを示していたとの報告があります。
Hagermanらは、10名のマラソンランナーを対象にマラソン終了後の筋肉を顕微鏡で調査しました。
ここでまた「筋肉痛の原因は筋ダメージ説」の項と関連付けられることが発見されました。
炎症の反応はマラソン直後から確認出来たにも関わらず、明確な筋肉痛はマラソン直後には訪れていなかったのです。これは私達トレーニーでもよく体感することでしょう。
Hagermanらは、炎症反応が一定のレベルに達した時点で神経終末が痛みに反応するのでは?と結論付けました。




「筋肉痛は浮腫が原因説」
これは炎症などは関係なく、早読みするとおそらくパンプアップが原因なのではないかという説です。
Bobbertらは、エキセントリックな下腿三頭筋のエクササイズを行った後、同部位の周囲径が増えた度合いが、筋肉痛と関係していたと報告しています。




筋肉痛を裏付ける仮説には様々なものがあり、まだはっきりとは分かっていないところです。
どの世界でも「単純な事ほどわからない」というのは往々にしてありますね。
色々な仮説を紹介してみましたが、皆様はどれが正しいと思いますでしょうか。
今回もご覧頂きまして本当にありがとうございましたm(_ _)m



参考文献:http://www.nsca-japan.or.jp/22_member/database/backnumber/vol_7/7(2)/7(2)18-21.pdf